『スーパーマリオブラザーズ』雑感レビュー 36年目
つい先日35周年を迎えた初代「スーパーマリオブラザーズ」
スーパーマリオ3Dコレクション、スーパーマリオブラザーズ35、復刻版ゲーム&ウオッチなど…
シリーズ開始35年でもある為任天堂が大々的にキャンペーンを行いました
つまるところ、初代スーパーマリオブラザーズは晴れて36年目に突入した訳です
そんな36年目の彼について今回はお話していきます
- Mr.Video Game
- 王道ストーリーと王道アクション
- 操作性
- 完成されたステージ構成
- 音楽
- コンティニューが隠しコマンド
- 構造が丸被りのステージ
- 残機の文字化け
- お気に入りステージ
- 良いとこ
- 悪いとこ
- 総評
- スコア(2021/03/01改訂)
- 今からプレイする方向け
Mr.Video Game
紹介も不要なほど知名度の高い作品でもありますが一応紹介を
スーパーマリオブラザーズ(SUPER MARIO BROS)は🇯🇵1985年9月13日にFCで発売されました
開発・販売は共に任天堂です
開発開始は1984年末頃、任天堂内では既にディスクシステムへの移行が計画されていた時期だったそうな
それ故に宮本茂氏は本作をドンキーコングから始まったジャンプアクションの決定版、延いてはファミコンカセットの集大成として企画、開発をしたんだとか
結果として日本国内で681万本、全世界では4,024万本を販売
ちなみに、日本国内での単体の売上は発売後30年近く第1位の記録を保持していましたが、2020年に同社製の「あつまれ どうぶつの森」に更新されました*1
実はつい最近まで記録を保持していたんですね
まさに決定版、集大成に恥じない作品となったと同時に、社会現象を巻き起こしファミコン、ひいては家庭用ゲームの普及に大きく貢献しました
王道ストーリーと王道アクション
~冒険のあらすじ~
キノコ一族は魔力によって姿を変えられ、キノコ王国は亡びてしまいました。
その魔法を解ける唯一の存在であったキノコ王国のお姫様ピーチ姫もクッパの手中に。
そんな中、クッパ一族を倒してピーチ姫を救出し、再び平和なキノコ王国を築くため、マリオが立ち上がります。
(説明書より)
基本的にピーチ姫が攫われるだけのシチュエーションが多い後発作品と比較するとかなり深刻な状況だったりする
ジャンルは2D横スクロールアクション*2
1つのWORLDは4つのステージで構成されており、それが8つ存在する全32ステージ構成
各ワールドの1〜3面までは地上、地下、水中、空中など様々な表情を見せますが、一貫して最後の4面のみはマグマ、ファイアバーが散りばめられたクッパの城が舞台となります
アクションについては方向キーによる移動、Aボタンでのジャンプ、Bボタンでのダッシュやファイアボールのみとシンプル
ステージ中のブロックにはパワーアップアイテムが隠されていますが、初代ではスーパーキノコ、ファイアフラワー、スーパースターの3種類のみ*3
本作ではファイアマリオの状態でダメージを受けると、スーパーマリオを経由せずに直接チビマリオに戻されます
また、チビマリオの状態でファイアフラワーを取得してもスーパーマリオになります
スーパースターに関しては本作の時点では無敵効果しかなく、加速効果がありません
1UPキノコorコインを100枚取得、着地せずに敵を8回以上連続で踏むと残機が1つ増えるのはこの頃から変わりありません
残機の初期値は3
チビマリオで敵に触れたり、状態問わず穴やマグマに落下するとミス
ステージの最初もしくは中間地点(通過していれば)からの再スタート
(WORLD8は中間地点無し)
上記の様に後発作品に見られるシステムは今作でほぼ完成されていることが分かります
なお、本作はワープポイントを駆使すれば1-1,1-2,4-1,4-2,8-1~4の8ステージをクリアするだけでエンディングを迎えることが可能です
しかし、全ステージ数が32とそこまで多くないことから、今回はワープを使用せず正攻法(?)でエンディングを目指しました
操作性
マリオのジャンプには特有の慣性が存在
ジャンプ後でも飛距離の調整が可能であり、助走で飛距離を伸ばすことも可能です
また、Bボタンでダッシュ、Aボタンでジャンプという操作を業界に広めたのは本作だと言われています
今でこそ当たり前と感じられる操作ですが、それを世に広めたという功績は優れた操作性と共に評価されるべきでしょう
完成されたステージ構成
特に1-1が話題に上げられるステージ構成について
これについてはこちらのブログをご覧いただきたい
この研究記事を要約すると、
「プレイヤーに反復的な学習を促すブロック配置」
「障害に対しての攻略方法が一つではないこと」
「アイテム全4種を違和感なく最初のステージに配置」
これらの要素を全て兼ね備えたのが1-1であり、プレイヤーが最初に出会うステージであるということ
ゲーム内でメッセージなどを一切表示することなく、ごく自然な攻略の流れの中でプレイヤーへのチュートリアルを済ませるという設計は、アクションゲームの最初のステージとしてはまさに理想形
音楽
システム構築の面での功績が大きいあまり忘れがちだが、音楽面でもスーパーマリオブラザーズは素晴らしい
メインBGMやコイン取得時のSEを始めとした音楽はどれもキャッチーかつ魅力的なもので、ゲームプレイの楽しさ・面白さを高めます
ちなみに音楽を担当したのは当時入社2年目の近藤氏で、氏の出世作となりました
コンティニューが隠しコマンド
本作にはコンティニューコマンド(タイトルでA+START)が存在し、ゲームオーバーになったワールドの最初のステージから再開が可能なのですが、実は隠しコマンド
ゲーム中での言及は勿論ありませんし、説明書にもありません
構造が丸被りのステージ
1-3と5-3など*4が該当
敵の数やリフトの幅が違うだけで基本構造が丸々一緒なのだ
現代においても、所謂水増しと取られてしまう様なデザインは作品の評価を下げる大きな一因になりかねない
ただ、例えば1-3と5-3で言えば5-3の方はクリボーやノコノコが増えるのではなくキラーが追加で配置されている
空中ステージでのキラーは砲台が無いため発射位置の予測が不可能
プレイヤーは不穏な発射音と共に何処からともなく現れるキラーを警戒しながらステージを進むことになる
このように構造がまったく同じながらキラーの存在で1-3には無かった緊張感を演出出来ている
それに、
- 40KBという容量制限の存在*5
- 作業の負担を減らし、8ワールド構成を周囲に納得させる必要があったこと
これらの背景と上記の5-3の様な創意工夫を感じられるデザイン*6を鑑みると一概に悪点とも言えない
FCという開発環境ならではの問題でもあるかもしれない
残機の文字化け
残機が10以上になると表示が文字化けするという現象
無限1UPの裏技使用時に残機のオーバーフロー*7と共にプレイヤーを悩ませる文字化け問題
一応解析をしているブログサイトが存在するのでまったく分からないという訳ではない
ただ、オーバーフローと言い裏技使用時にしか大した問題にならないので問題点とは言えないかもしれない…
お気に入りステージ
8-3
32ステージ中31ステージ目であり、高い難易度を誇る8-3
やはりその白眉は作中最強の雑魚敵とも言えるハンマーブロスだろう
このステージには計8体のハンマーブロスが出現する
しかもその内の半分が平地ハンマーブロスなのだ
上記スクリーンショットの様にファイアーマリオであれば敵ではないのだが、チビマリオやスーパーマリオで挑む時の緊張感はまさにラストステージの前座に相応しい
ただ、パワーアップアイテムが道中2つ設置されているなど、「やたら長いわりにパワーアップアイテムが無く制限時間も短い8-1」や「ジュゲムとキラーの猛攻を掻い潜る必要がある8-2」と比べると親切設計
チビマリオからのスタートでも上手く進めばファイアーマリオとなって8-4まで駒を進める事も出来るなど、やり応えも十分
また、8-4の城を思わせる城壁や、そこに隠されたレンガブロックもまた一興
8-4
正真正銘のラストステージ
迷路の様な設計になっており、入る土管を間違えると問答無用でスタート地点まで戻される
道中、ファイアバーの犇めく水中ステージを乗り越えると平地ハンマーブロスが出現
このステージにはパワーアップアイテムが設置されていないこともあり前座にして強敵
複雑なステージ設計、道中の水中面、クッパ直前の平地ハンマーブロスなど文句のつけようがないラストステージ
-1
俗に言うバグ面
1-2から行くことが可能
このステージ自体はゴールが存在しない無限ループの水中面
この-1、なんとバグ面であるにも関わらず海外サイト選定の「最も見事な水中ステージを作り上げたゲームトップ10」の第4位にランクインしている
(元サイトリンク切れにつきまとめサイトを掲載)
アンダーカバーと呼ばれる、意図せずに組み込まれたステージとしてはかなり親しみが持たれていることが分かる
ちなみに、しっかり中間地点が設置されているのだが穴の真上なので気を抜くと即死してしまう
良いとこ
- 快適な操作性
- よく練られたステージ構成
- キャッチーなミュージック
悪いとこ
- 基本構造が丸被りのステージが存在
- コンティニューが完全な隠しコマンド
- 残機の文字化けによる現在残機の把握の難しさ
総評
問題点がまったくないわけではないが、快適な操作性、創意工夫の溢れるゲームデザイン、キャッチーなミュージックなど、どの点を取っても当時のゲームとしては高水準の完成度を誇っている
こんなに素晴らしい作品が40KBのROMカセットを通して体験出来るという事実は、ビデオゲームにおける夢とは何たるかを体現していると言えるだろう
初心者のビデオゲームの入門としても、上級者が古典作品に触れる一環としても、どんなプレイヤーに対してもスーパーマリオブラザーズは両手を広げて彼らを歓迎してくれるだろう
スコア(2021/03/01改訂)
点数は90点*8
今プレイすると実にありきたりかつ王道な作品に思えてしまうが、この作品がそのありきたりや王道という価値観を創り出した張本人であるという事実は、時代を超えて全てのゲーマーに記憶されるべき偉大な事実であると言えるだろう
今からプレイする方向け
その評価に違わず2020年12月現在、実に多種多様な方法でこの作品をプレイすることが可能
FC
オリジナル版
今回私がプレイしたバージョンはこちら
流通数の多さも相まって比較的安価で入手可能
FCD
FC版からの移植
ディスク故ロードが存在するが4-4と5-1の間の一度のみ
ROM版と比べると流通数は少なく市場価格も高い
アーケード(VS)
アーケード版でタイトルは「VS.スーパーマリオブラザーズ」
ファミコンとは相違点がそれなりに多く、半分くらい別物と考えていい
現在はアーケードアーカイブスとしてプレイ可能
PC
PC-8800シリーズ版やX1版が存在
技術的制約から画面がスクロール式ではなく切り替え式であったなど、無茶移植として有名
スーパーマリオコレクションにリメイクされて収録
セーブ機能が搭載されていたり操作パターンを選択出来たり親切設計
リメイクなだけあってグラフィックやBGMに手が加えられている別物
16bit版がいいよ~という方向け
ファミコンミニとして移植された
GBAは解像度でFCに劣るため縦横比が変更されている
セーブ機能も存在するが、下記VC版が存在する今特別選ぶ理由はないかもしれない
バーチャルコンソール移植版
まるごと保存機能や中断機能など利便性に富むが、画面がボヤケていたり、暗かったりするなど何かと問題点も存在する模様
Switch Online版の登場により存在意義が怪しい
Switch Online
特にこだわりが無いのならこのSwitch Online版をおススメします
まるごと保存機能や巻き戻し機能が存在しますし、グラフィックもオリジナルに近いながらもより鮮明になっており、アナログテレビ特有のボヤケなどは感じられません
一度起動すれば7日間はオフライン環境でもプレイが可能など持ち運びにも優れています
まるごと保存機能の存在などはVCやSwitch Onlineと同様
特徴は何といっても全3種のこだわりの画面モードだろう
お馴染みの4:3モードから、1ピクセルを正方形で描写するピクセルパーフェクトモードや、滲みやノイズを再現したアナログテレビ
モードが存在
実機とまではいかなくとも当時に雰囲気を知りたい方や、ファミコンのゲーム全般に興味のある方向け
35周年記念で復刻
初代マリオとマリオ2がそのまま収録
携帯機でとにかくマリオだけ遊びたい方向け