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『ゼルダの伝説』雑感レビュー THE HYRULE FANTASY

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 実はこの作品をやる為だけにディスクシステムを購入しました

 なお、THE HYRULE FANTASYは本作にのみ付いているサブタイトル

また、記事中のスクリーンショットは全てRetroTINK 2Xpro+mClassic+GV USB-3の構成でキャプチャーしたものです

 

 

 

ゲーム史上最高のシリーズ

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ゼルダの伝説(The Legend of Zelda)は🇯🇵1986年2月21日(🇺🇸1987年8月22日)にFCD(NES*1 )で発売されました

開発・販売は共に任天堂

 

ディスクシステムの記念すべきローンチタイトルにして、後にゲーム史上最高のシリーズ*2と称されるゼルダシリーズの処女作です

 

当時の「インディ・ジョーンズ」に代表されるアドベンチャー映画や「剣と魔法の世界」がテーマのパソコンRPGの流行を背景に、マリオの産みの親である宮本茂氏をプロデューサーとして開発されました

 

そんな本作は日本のみならず世界でも人気を博し、世界売上は651万本にまで達しています

 

ディスクライター*3での累計書き換え回数も第3位を記録

 

 

ゲームプレイ

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ジャンルは2D見下ろし型のアクションアドベンチャー

 

主人公リンクを操ってフィールド中に点在するダンジョンを攻略、トライフォースを完成させて大魔王ガノンを撃破する事が目的

 

ダンジョン攻略は徘徊する敵モンスターを倒す純粋なアクションだけでなく、後にシリーズの特徴となる謎解きを要する構成になっており、それらを突破した最深部にボスが鎮座している形になっています

 

なお、一度に使用できる武器はAボタンに割り振られている剣(固定)と爆弾、ブーメラン、弓矢など数種類の内から選んで割り振るBボタン武器の2種のみ

 

システム自体はシンプルですが、ライフ満タン時にのみ剣から発射できるビームや、前述の謎解きや豊富なBボタン武器によってゲームは奥深いものになっています

 

 

予見的なゲームデザイン

ゲーム開始直後から全125画面から成る世界をほぼ自由に移動可能、LEVEL1~9まで存在するダンジョンも必ずしも1から攻略する必要が無い、など高い自由度が特徴

 

この自由度は当時のゲームとしては画期的ですが、オープンワールドゲームの流行などを経た現代から振り返って見ると、非常に予見的なゲームだったと言えるでしょう

 

 

個性的な敵キャラクター

このゼルダの伝説には計28種類の敵キャラクターが出現

それらはどれも個性的で特徴のあるものばかり

 

個人的に印象に残った敵キャラを挙げると、

触れるとしばらく剣が使えなくなる「バブル

襲われるとマジカルシールド*4を奪われる「ライクライク

周囲に8匹の子を展開し本体を守る「パタラ

2コンマイクで倒すことの出来る「ポルスボイス

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私は専らマイクに息を吹きかけて倒していた

 

キャラクターにはこの後シリーズの常連となるものも多く存在

 

また、所謂雑魚キャラ以外のボスキャラクターも曲者揃い

 

周期的に開閉する目に攻撃する事でしかダメージを与えられない「ゴーマー」、爆弾には滅法弱い「ドドンゴ」など

 

特にこの2体は後のシリーズ作品にも同系列のモンスターが登場するので、そちらを先に経験しているプレイヤーにとってはニヤリとさせてくれる存在

 

 

プレイを彩る印象的なサウンドトラック

FCDの独自音源を用いたタイトルBGMの美しいメロディは、これからの冒険に想いを馳せるプレイヤーの興奮を掻き立てる

最も耳にするであろう地上のテーマも独自音源こそ用いていませんが、後にシリーズを象徴する代表曲になる名曲

また、「アイテム入手時」「謎解き成功時」に流れる専用のファンファーレも後にシリーズ定番となり、ゼルダファンだけでなく一般ゲームプレイヤーにも耳馴染みのあるSEとなった

 

 

やや理不尽、不親切な要素

ゲーム開始直後、メッセージの一つも無くフィールドに放り出される本作

しかし、初期地点のすぐ上にある怪しげな洞窟に入ることで剣を入手可能であり、プレイヤーに本作の攻略システムである謎解きを示唆する様な形になっている

これに始まる謎解きではあるが、ややヒントが少なく理不尽と感じられる場面も

 

特にダンジョンの入口は後半になればなるほど見つけにくくなっていく

ヒントを教えてくれるキャラクターは各地に存在するものの、そのヒントは具体性に欠けている

 

てきのエサ、ハートのうつわ関連もゲーム内での言及は一切無い

 

また、ダンジョン内での「爆弾で破壊できる壁」も目立った目印等が無く、マップから類推するしかないなどやや不親切*5

 

ラスボスの攻略方法も説明書にそれらしい記述があるそうだが、ゲーム内ではノーヒント

中古品購入者の私は初見時に何をどうすれば良いのか分からず、そのまま力尽きた

 

他には再開時の仕様も少し親切さに欠ける

 

フィールドの何処でゲームを終えようと再開地点は初期地点*6なのだ

 

それに加えて再開時には体力が初期値の3になる*7

その為ゲーム再開時にはまず体力を回復する作業を行わなければならない

 

この問題は体力最大値が増える=ゲームが終盤になるに連れて顕著に

 

体力を無償で全快出来る場所は存在するが、それが分からない内は再開時毎に地道な稼ぎの時間が発生することになる

 

 

骨太アクション

本作はシリーズ作品でも一二を争う難易度を誇っており、ユニークなアクションとは裏腹に難易度はシビア

 

メインウェポンの剣は体力満タン時にはビーム(貫通持ち)を発射出来るが、非満タン時には目の前への突き攻撃しか出来ず接近戦は途端に不利に

この問題は、装備が貧弱で攻撃手段に乏しいゲーム開始直後に顕著であり、筆者も数回GAME OVERを経験した

かと言って序盤だけの問題かと言うとそうでもなく、敵の攻撃が激しく体力の維持が難しい終盤でも問題に

特にライクライクに盾を奪われたりするとウィズローブなどの攻撃が通りやすくなるので、あっという間に体力が減っていき接近戦を強要される

 

それ故ラストダンジョンのデスマウンテンは、謎解きも戦闘も高難易度のダンジョンに仕上がっている

 

 

シリーズ最大級のボリューム

 本作にはLEVEL1〜9の合計9つのダンジョンが存在する

これだけを見ればシリーズ作品の中では平均的な数ではある

 

しかし、本作には通常モードを「表」として、高難易度版の「裏ゼルダ」というモードがある

 

ゼルダは、敵の行動パターンなどが変わっていたりするだけでなく、マップの構成が変わっていたり、新しい仕掛けが増えていたりする

ただの高難易度版では片付けられないほどの変化がある

 

結果、表の9つと裏の9つを足した計18個のダンジョンが存在し、これはシリーズ最多である

 

なお、裏ゼルダは一度ゲームをクリアするか、セーブファイル作成時に特定の名前を入力することでプレイ可能となる

表モードだけで四苦八苦だった私は挑戦を見送ったことをここに記しておく

 

 

良いとこ

  • 当時としては革新的で自由度の高いゲームシステム
  • ユニークなキャラクターや装備、謎解き
  • リンクの旅を大いに彩るサウンドトラック

 

悪いとこ

  • 時によって不親切な謎解き
  • 戦闘シーンのシビアさ

 

 

総評

アクション、謎解き、自由な冒険といった本作独自の要素はどれも高水準にまとまっており、プレイヤーを強く惹きつける要因となっている

サウンドやキャラクターも独自色が強く印象的

一部のシーンでの不親切さや理不尽さ、シビアさの存在は確かだが、それらを覆い隠してしまうほどの魅力に溢れた作品であることも確かだ

 

 

スコア

点数は91

ゲームシステムから来る自由に旅をする感覚、旅の途中で立ち塞がる数々の謎解き、どちらもプレイヤーの心を掴んで離さず、旅は自ずと濃密なものになっていく

トライフォースが完成する頃には君だけの冒険譚が出来上がっている事だろう

 

*1:海外版ファミコン

*2:英メディアMetro GameCentralより引用

*3:当時玩具店やゲーム専門店に設置されていたゲーム書き換え装置

*4:初期装備の盾の強化版

*5:後作では壁に目印となる模様がある

*6:ダンジョン内で終えた場合はダンジョンの入口

*7:体力の最大値を上げてもこれは変わらない